
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
サイモン シン(著)
、Simon Singh(原著)
、青木 薫(翻訳)
新潮社
¥ 820
[文庫] 2006-05
ISBN:9784102159712 / ASIN:4102159711
数学界最大のなぞ、「フェルマーの最終定理」が解けるまでを描いたノンフィクションなのだけど、上質のミステリー小説のように面白かった。
結末はわかっているのに、ぐいぐい引き込まれて一気に読めてしまった。数学は大の苦手。専門用語や数式も出てくるのだけど、そんなもの知らなくても問題ない。
フェルマーの最終定理がどうしてそんなに有名になったのかということから過去の歴史を紐解いてわかりやすく語られる。同時に、数学の歴史にも触れられ一石二鳥。そして、数々の天才たちがこの謎を解こうと奮闘するのだが、次々に失敗に終わる。それぞれがそれぞれのアプローチをし、結果的に失敗に終わったとしてもそれが次の世代に受け継がれ、解決へと近づいてゆく。
いったい、だれが、どうやってこの定理を証明するのか。どきどきわくわく。結果は分かっているのだ。ワイルズという数学者が1995年にこの謎を証明する。しかし、その過程で、日本人数学者が深くかかわっていることを今回初めて知った。その証明には、過去から現在までの数学のあらゆる知識が組み込まれているらしい。
フェルマーは17世紀にこの謎を残して死んだのだけど、自分ではこの定理を証明したと言っていた。しかし、その証明を残さなかったために、この謎は数世紀のあいだ数学者たちを悩ませ続けたのだった。
ワイルズが行った証明を17世紀のフェルマーが考えついていたとは考えにくい。ということは、フェルマーの最終定理にはもっと他の証明方法があるのかもしれないと多くの人が考えている。謎が解決されても、まだ謎は残っているのだ。数学というと、理知的で冷徹なイメージがあるけれど、実際はとてもロマンあふれる学問なのだ。
そのロマンあふれる数学の世界を生き生きと魅力的に描いた著者サイモン・シンの筆力に脱帽。他の作品も読んでみたくなった。
