日本では、赤ちゃんの養子というのはあまり聞かない。子供が欲しくてもできない夫婦などで、養子をもらいたいという人もいると思うのだが、私などはそういう場合にどうすればいいのか、よくわからなかった。さまざまな事情で実の親が育てることができなくなった子供を預かったり引き取ったりする里親制度というのは聞いたことがあるのだけど、それは、赤ちゃんではなくある程度大きくなった子供というイメージだった。たぶん、この制度は赤ちゃんにも適用されるのだろうけど、あんまりそういうイメージはない。
この本を読んで、日本にも親が育てられずに赤ちゃんのうちに実の親と引き離される子供が数多くいることがわかった。やっぱり、という思い。事情はいろいろ。十代での妊娠、レイプによる妊娠、不倫の末の妊娠など。
問題は、そういう赤ちゃんがいったいどこへ行くのか、ということ。普通は、児童福祉施設や乳児院に引き取られるのだろうけど、そういうところに引き取られた子の多くはそのまま施設で育ち、養父母に引き取られることは稀なようだ。日本では養子に対して厳しい風潮があって、施設から赤ちゃんを引き取って育てるというのはあまり一般的ではない。不妊治療などをしている夫婦も多い上、少子化で親戚やきょうだいの子供を養子にもらうというのも難しい現状があるのだから、制度を充実させて、社会に養子を容認するような雰囲気が生まれれば施設で育てられる子供はもっと減るのではないかと思う。
ある程度大きくなってから施設に引き取られる子供は、育った環境などに影響されて身体的、性格的な問題をかかえている子供も多そうで、引き取るのには専門的な知識や相当の覚悟が必要だと思うのだけど、生まれて間もなく親の事情で手放された赤ちゃんの場合はもう少しハードルが低くなって、引き取り手の幅も広がるのではないかと思う。もちろん、引き取る上での覚悟、という意味では赤ちゃんでも相当の覚悟は必要なのだけど。
この本が掲げている問題点は、日本の赤ちゃんが海外に養子に出されているということ。それも、日本の制度の不備に問題があるようだ。日本人の赤ちゃんは親がドラッグなどに染まっていないので、健康で人気があるらしい。海外への養子斡旋業者というのがあって、養い親から多額の手数料を取っているらしい。届け出制なのだが、届け出のない団体も多く、届け出ている団体でもその斡旋方法などに問題がありそうな団体もある。
海外に養子に出された赤ちゃんが、その後、どういう養育環境で育っているのか追跡調査をしていなかったり、そもそも追跡自体が困難だったり。臓器売買や、人身売買の対象になっていないか、慎重に追跡調査すべきだと思うのだけど。
そもそも、日本政府は海外に養子に出される子供の数すら正確に把握していない。いいかげん。少子化問題とセットで、もっと真剣にこの問題に取り組んだほうがいいじゃないかと思う。

