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育児は体験しないとわからない◆『経産省の山田課長補佐、ただいま育休中』 [2006年05月17日(水)]
経産省の山田課長補佐、ただいま育休中
山田 正人(著)
日本経済新聞社
¥ 1,470
[単行本] 19cm x 13cm , 246P
2006-01 / ISBN:4532165512

以前、国会議員の野田聖子さんが不妊治療のことを綴った本を読んだときに、日本の少子化問題が解決しないのは、その問題に取り組む人たちが問題の根本的なところを分かっていないからだと思ったことがある。国会議員や官僚などは一般人のような子育てを経験していないのではないかと思うのだ。しかし、一般人でも夫と妻では妻が子育てをするのが当たり前という風潮があるから、普通の会社員の男性でも子育ての現状というのをどれくらい分かっているのかはナゾ。

そんな偉そうなことを言っているが、私も子育て未経験者。ほんとうのところはわからない。けれど、国会でふんぞり返っているおじさんたちよりはわかっているような気がするのだけど…。

国会議員というのは忙しくて子育てなんてしている暇がないんじゃないだろうか。そうすると、お金でやとえるベビーシッターだとか家政婦だとか、親だとか親戚だとか、本人以外が子どもの世話をしているのだろう。頭では分かっていても、実際にやってみないとわからないことというのは多い。

この本の著者は経済産業省に勤めている。エリートだわ。奥さんも同じ。で、最初の出産のときは奥さんが育休を取ったから、二回目は自分が…、とダンナさんが育休を取ったのだ。エライ。

そうは言っても、周りから見れば男性が育休を取るなんてまだまだ珍しく、出世できなくなるとかいろいろ言われたらしい。面白いのは、育休に入ったら飲みに行こうだとか、将来のために勉強する時間ができるだとか育休を長期の骨休みのようにとらえられているというところ。女性だったら、育児で大変で気軽に遊びにもいけないね、と逆に気遣うのにね。

それには育休を取ったことのある男性の育休中の行動にも原因があるらしい。実際に育休を取ってもちゃんと女性と同じように育児をしている男性というのは少ないのかもしれない。男性が育休を取っても結局は妻か親かわからないが他の人が育児をしているということなのだろうか。それで、育休中の男性は自分のやりたかったことなんかを満喫していたりして。そんなことでは男性の育休は普及しないぞ。育休取ったらちゃんと育児しろ。

その点、この著者はほんとうにエライ。上の双子ちゃんの世話も赤ちゃんの世話も家事も母親並みにこなしている。いや、最初はもどかしいのだけど、その気概がエライ。育休が終わる頃には子どもたちの心もグッとつかんで、奥さんよりも子どものことがわかるようになっているのだ。毎日接していればあたりまえだよね。

だいたい、主婦が三食昼寝付きだなんて嘘。ちゃんとやったら大変なのだ。うちの両親は共働きで、母は働きながら家事もしていた。だから私は子どもながらに働いていないお母さんというのは家事しかしなくていいから時間がいっぱいあるのだろうなと思っていた。が、それは大間違い。うちの母の「家事」っていうのは簡易版だったことに、大人になってから気付いたのだ。お掃除は週に一回。お料理は30分でできる(これは母の手際のよさ)。洗濯物は分けて洗ったりしないし、干し方もいいかげん。セーターを陰干ししたり、ジーパンのしわを伸ばして干したりしない。アイロンもほとんどかけない。その他もろもろ。

自分で家事をするようになると、家事は奥が深い。毎日とは言わなくてもお掃除は頻繁にやらないと家が汚れるし、片づけをしないとモノが溢れる。料理も手が込んだものをたまには食べたい。アイロンもちゃんとかけたほうがいい。

人には向き不向きがあるから、母のように外で働きながら簡易版の家事で済まして育児は放任主義(といってもちゃんと愛情持って育てられたのだけど)、というのも一つのやり方。専業主婦のように家の中のことをきちんとやって、子どもにも長い時間関わって、家に帰ってくる旦那さんが自宅で気持ちよく過ごせるように家の中のことを整えておく、っていうのも一つのやり方。それはひとそれぞれだ。

ともかく、家事や育児は世の男性が思っているほど楽ではないらしい。肉体的にも精神的にも重労働なのだ。家事はともかく、育児は24時間解放されないしね。夜、飲みに行くなんてもってのほか。

そういうことを実体験した著者。最後に少子化問題への提言もあって、これがなかなか興味深い。体験者だからこそ言える重みのある言葉。そして、素人の私がみても、これが実行されれば問題解決に向かうのではないかと思える内容だった。世の男性たちよ、もっと育休を取りなさい。そして真面目に育児をしてみなさい。そこから日本の少子化打開への道が始まるのだ。がんばれ夫。

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