第3回本屋大賞を獲ったので読んでみた。みんな号泣するという。私は号泣はしなかったけど、読み終わってしみじみとした。
このお母さんは素敵。著者のリリーさんも素敵。でもこのふたりへの憧れはない。生き方も考え方も違う。だけど、みんなが共感するというのは、きっと、このふたりの「関係」なのだろう。みんなが憧れる親子の関係。絆。
息子と母というのは、娘と母とは違う、なにか特別なものがあるらしい。息子に対する母の愛情というのは強烈だ。娘から見て、嫉妬するくらいなにか特別な愛が息子に対してはある。それは、お姑さんと同居する友人も証言している。お姑さんはダンナ(息子)に甘いのだ。
この本には、息子の母に対する愛情が詰まっている。母がいくら息子を愛しても期待通りに息子も母に愛情を返してくれるとは限らないのだけど、この本には、リリーさんのお母さんへの愛が詰まっていた。これだけ息子に愛されたお母さんは幸せものだと思う。
何が幸せかなんて人によって違うのだろうけど、息子から愛されているという思いはお母さんを幸せにしたはず。
「親孝行、したいときには親はなし」っていうけれど、親がいるうちにたくさん、たくさん親孝行したとしても、親が死んだときにはきっと、もっともっといろいろしてあげれば良かったと思うんだろうな。私も今のうちにいろいろしてあげたいことはあるのだけど、全然できていない。結婚して安心させてあげたいし、孫の顔も見せてあげたいし、お金の苦労もかけたくないのだけど、何一つできない。
私にできるのは、元気そうな顔をしてそばにいること。弟は自立してしまって家に寄りつかない。それは親に迷惑をかけないという弟なりの親孝行なのだろうけど、母はそれが寂しいらしい。すこしは迷惑をかけて欲しいらしい。
この本に書かれているのはとても個人的なことなのだけど、そこに普遍的な何かが語られているのだ。読んだ人がみんな自分の親のことを思い出すという。世の中には、その人数分の、親子の物語があるのだ。その人それぞれの『東京タワー』があるのだろうね。 |