センセーショナルなタイトルとコピーに乗せられてつい買って、つい読んでしまった。「“若き文豪”が過激な描写でネット社会の罠を描き、話題沸騰の問題作!」だそうだ。
平野啓一郎は芥川賞を取ったときから気にはなっていたのだけど、読んだのは初めて。イメージがイメイジ、メールがメイルなどカタカナ語の横棒がない。あと、妙に漢字が多くて文章が仰々しい。これがこの人の作風らしい。
で、そういう作風がお洋服だとして、そういうのを取っ払ってしまうと、「なるほどねぇ」「こんなもんか」というのが正直な感想。すごく期待はずれというほどでもないけど、もう少し深ぁーいものを期待していたら、そうでもなかった。
描写は確かに過激だった。でも、エログロ好きなのでふんふん…と読み進んだのだった。過激な描写だけだったら他の作家もやってるし。村上龍、金原ひとみなんかは好き。
表の顔はごく普通の女教師。でも裏の顔は出会い系サイトで知り合った男と過激な性行為に耽る巨乳女。そして、ビデオに録られた映像は男によって女の知らないうちにネットに流される。その顔にはモザイクがかかっていた。どちらが本当の自分なのか。現実世界とネット世界が交錯したとき、事件が起きる。
現実とネット、どちらも本当で、どちらも嘘。しかし、物語の中では彼女が自分の裸体がネットで閲覧されていると知るのは最後の方だ。ネットと現実、というよりも、男との関係が虚構の世界で、教師という生活が現実の世界だとして、二つの世界を行き来しているうちにどちらが本当の世界かわからなくなってしまったという感じなのかも。
しかし、現実世界ではもっとすごい事件が起きているし、もっとすごい二重生活を送っている人もいると思われる。だからきっと、「こんなもんか」という感想になってしまったのだ。
なんだろう。私がなにか読み違えをしてるのかな。作者はもっと違うことがいいたかったのかな。あ、わかった。この作品、ほとんど主人公の男とと女のふたりしか登場人物がいないのだけど、このふたりのどちらにも感情移入できないからこんな感想なのだ。だって私、巨乳じゃないもーん。 |