正直言って、なんでこの人がこんなに子どもが欲しいと思っているのか、さっぱりわからなかった。まぁ、そういうのは理屈ではないんだろうけど、それにしても、なんだか、「オンナは子どもを生んでこそ一人前」というような旧世代的な考え方があって、彼女自身がそれにしばられているような気もする。私ほどのオンナが子どものひとりも産めないなんておかしい、みたいな。だからこそ何が何でも産んでやる! っていうような。子どもを産んで育てるって、そういうことじゃないんじゃないの。
なんかね、冒頭で結構引いた。婦人科の内診で「強い恥じらいを感じた」というところまではいいとして、夫に「お前の全部を見せるのか。できれば女医さんに見てもらえないか」と言われたというのだ。そういう男性もいるのかもしれないけれど、それは冒頭でクローズアップする問題ではないと思う。今は20代の未婚女性だってガン検診で婦人科のお世話になっているというのに、国会議員でバリバリ働いている40代女性が婦人科の内診に対する感想を、そういう女性週刊誌的な視点で書かないで欲しいと思った。
あとの方で、この夫の発言は夫婦間の意思の疎通がうまくいっていない為だったことが分かるのだけど、この本の構成上、こういう挿話を冒頭に持ってくるというのはセンセーショナルな話題性を作ろうと「狙って」いたように感じられてイヤラシイ。
だいたい、40歳で結婚した時点で、子どもというのは自然に簡単にできるものだと思っていたというのが信じがたい。その年令で出産する人は大勢いるだろうけど、十分に高齢出産である。しかも、今まで妊娠したことがなければ、妊娠するかどうかだって怪しいし、運良く妊娠したとしても初産だったら普通は不安だろうと思うのだけど。結婚する前に、子どもができないとか、子どもを作らないということは考えなかったんだろうか。それとも、子どもが産みたいが為に結婚したのか。そうだとしたら本末転倒という気もする。
この本を読んでいても、この人の家族感というのが非常に希薄で、よくわからなかった。国会議員で、超過密スケジュールをこなし、バリバリ働きながら、ちょっとの時間を作って病院に行って不妊治療を続ける。これは並大抵の人にできることじゃない。
私も最近までよく知らなかったのだけど、不妊治療、それも体外受精というような高度な治療を受ける場合、病院通いだけで大変な負担なのだそうだ。数日おきに通院しなければいけなくて、普通に仕事を持っている女性でも、仕事をたびたび休まなければいけなくて辛いらしい。休めば、職場での立場も悪くなる。子どもが出来ないという悩みに加えて、仕事も満足にできなくて、ますます精神的に追いつめられてしまうらしい。
だから、彼女がとても頑張って、一生懸命なのはよくわかる。わかるけど、それが目的になってしまっていて、夫と一緒にふたりの子どもを慈しみ育てて家庭を作るという観点が抜け落ちているような気がした。それって、私の考えが古いのだろうか。
始めの頃はひとりで突っ走り、詳しい治療の内容も夫に知らせなかったという。夫は体外受精には反対で、治療に協力的でなかった。それでもひとりで頑張った。子どもって夫に反対されても強硬に作るモノなのだろうか。それって至極不自然じゃないだろうか。それならば、結婚しないで未婚の母にでもなればいいのに。
あ、このお二人は夫婦別姓にしたい為に籍は入っておらず、事実婚らしい。この、夫婦別姓というのもよく分からない。そういう夫婦の形態があってもいいとは思うのだけど、野田さんがこれを推し進めようとしている気持ちがよくわからない。子作りと一緒で、切実さが伝わって来ない。というよりも、この本を読んでいると、夫婦別姓でこういう家族形態が出来てしまうのだったら、あまりいいことはないなと思った。
野田さんが子どもを産んだとして、産んだあとのビジョンがさっぱり見えない。きっとこの人は産むだけ産んだら自分では育てないんじゃないかと思う。産んだあとに気が変われば別だけど。
「私がオトコだったら、仕事を休むこともせずに若い奥さんや愛人に好きなだけ子ども産ませられるのに」くらいに思っているかも。
子ども産んだら、「私は子ども産んだのよ。あんたたちには真似できないでしょ。お〜ほっほっほ」と言ってそれを利用して少子化対策の重要ポストに就いて、「してやったり。」とほくそ笑むような気がする。つまり、子どもも仕事の道具。
この人に、少子化の根本的なところってわかっているのだろうか。彼女のように、パワフル、傲慢な人ばかりじゃないと思うんだけど。そうそう、なんとなく、全体的に弱者に対する視点が欠けているのよね。車いすに乗ったときに、「世間から見下ろされている」と感じたらしい。それって、普段自分が車いすの人間に対してそう思っていると言うことではないの。
私がこんなに頑張っているのに、世間は認めてくれないとか、夫が分かってくれないっていう記述が多すぎ。思いやりが欠けていると思わざるを得ない。それならそれで、徹底的に自分の考えを貫けばいいのに、変に言い訳めいたことも書いてあって、うんざり。
犬を飼って、夫婦仲が良くなって、夫も不妊治療に協力的になったらしい。犬ってすごいね、って思うけど、留守がちな夫婦に飼われたこの犬の世話はいったい誰がしてるんだ。お金があるから、秘書やらそばに住んでいる家族やらがしているのか。
なんかさ、この人って、なんでもかんでも手に入れたがりやなのかも。国会議員という地位、名誉。それに加えて夫と子ども。全部は無理でしょう。この人にとって、大事なモノの順序というのが、まず仕事、そして自分。そのあとに家族という感じがする。国会議員として、国民のために、って言うよりも、自分の名誉や地位を上げたいという出世欲のほうが強そう。
選挙の時も、夫を従えている印象が強かったけど、家庭でも、主導権は彼女が握っているんだろうな。しかし男性社会で出世するにはこれくらいの傲慢さは必要なのかもね。 |