このサイトについてリンクについて本のブログ日記ブログメールフォームサイトマップ
読み物
.
本棚
.
リンク集
【出版社】 一般・文芸/絵本・児童書/理工・パソコン/美術・デザイン/趣味・実用
.
日記・BBSなど
.
.
.
- ブックレビュー
- -
爆笑・高齢出産記◆『45歳、もう生んでもいいかしら?』 [2006年03月22日(水)]
45歳、もう生んでもいいかしら?―わがままノロマ マル高オロオロ出産記
久美 沙織(著)
メディアファクトリー
¥ 1,365
[単行本] 19cm x 13cm , 349P
2005-06 / ISBN:4840112649

45 歳で初産。立派な高齢出産である。高齢出産と言うと、不妊治療、高度生殖医療、帝王切開などと言う言葉が頭をよぎるが、著者は自然妊娠で自然分娩。40歳を過ぎてから不妊治療を受けようとサイトを見て回ったらどこも「40歳より前に」受診しろと書いてあり、そのまま現代医学的な不妊治療は受けなかったらしい。不妊に効くという健康食品や神社や温泉は試したらしいが、まったく、まったく自然妊娠なのだ。すごい。そんなこともあるのだね。

結婚から妊娠に至る経緯から出産までのレポートだけど、ひょっこり授かったベビーにベタベタに愛情を注ぐでもなく(しかし愛情がないわけではない。どころか子どもに対する愛着は人一倍かも)、冷静に妊婦を取り巻く社会情勢に辛口に迫ったりしていて面白い。これは大人のオンナならではの落ち着きなのかもしれない。若い妊婦だったら、もうアワワ、アワワと慌ててしまうのかもしれないけれど、そこは人生経験がものを言うのだ。高齢出産もなかなか良いかも(ただし、生む元気と子育てする体力があれば)。

読んでいて、そこかしこに、「この人の思考回路と精神構造は私と似ているかもしれない」と思う箇所発見。しかしよく考えてみれば、久美沙織と言えば、私が中高生だった頃に愛読していた人気作家だ。「似ている」のではなくて、若い頃にこの人の本を読んで受けた影響を、私はずっと引きずっているだけなのかもしれない。

それにしてもね。若い。というか、枯れてない。妊娠すると若返るんだろうか。いやいや。この人はずっとこんなだった。だから、45歳でも妊娠できたのだ、きっと。妊娠中にドラクエやってたり(ドラクエのノベライズを書いているくらいだから半分仕事なのかもしれないけど)、分娩室にプープー鳴るおもちゃを持って入ったり、ピンクハウスの洋服は妊婦向き(つまり自分で着てる)とか言っちゃったり、ほんとに45歳なのかと疑いたくなる。でも、私ももしかしたらこんな45歳になるかもしれないという予感めいたものも感じるのだった。年令なんて関係ないわよ。ただし、それは精神の話であって、子どもを生むためには肉体年令が若くて体力がなくりゃいけないだろう。私は45歳でも子どもを生めるだろうか…。

自然妊娠、自然分娩だから、これは世代を関係なく女性一般が読んで面白いと思う。もう、出産する場面なんて大爆笑しながら読んでしまった。痛いけど幸せというのが伝わって来る。

しかしきっと、作家としてこの体験を本にしなければという思いがあったに違いない。イキミつつも冷静に状況を観察していたのだろうと思うと余計に笑える。私も、なにか非日常的な出来事があったら困りつつも「これはブログのネタになる!」と嬉しさ半分で事態を冷静に観察してしまうのだ。だから、作家である著者の気持ちがなんとなく分かってしまう。作家として、超高齢出産をネタにしないワケにはいかないでしょう。しかも、この著者ならコレ一冊書くくらいお茶の子さいさいという気がする。私がブログに書いてもほとんど収入にならない(アフィリエイトの広告収入くらい)が、作家はこれでメシを喰えるのだ。いいな。私も夢の印税生活をしてみたいもんだわ。

ともかく、久美沙織の高齢出産は、ただの高齢出産ではない。本になって、人々を爆笑の渦に巻き込み、世の女性たちに勇気を希望を与える一筋の光なのだ。彼女が45歳まで妊娠しなかったということも、45歳で初めて妊娠して無事に出産したということも、とってもとっても意義深いことなのだ。きっと、神様は久美沙織にこの本を書かせるために、いままで子どもを授けなかったに違いない。

それにしても、私が一番、高齢出産ゆえの郷愁を感じてしまったのが、妊婦用の巨大ナプキンに対する感想。私は出産経験はないけれど、卵巣のう腫の手術をしたときにこのナプキン経験済み。巨大で分厚くて原始的。今の、超うすで吸収力バツグンのナプキンを使いなれていると、なんじゃこりゃ、というようなシロモノ。私も《「あー、昔のナプキンってこうだったよね」》と思った。《学校で急に生理になってしまい保健室にもらいにいった時に出てきたやつぐらい「むかし感」「非日常感」がある。》というのにも同感。でもさ、この感覚って今の若い子もそうなのかな。その、「昔のナプキン」を知ってるっていうのが高齢妊婦の悲しさ。若い妊婦さんは昔の原始的ナプキン、知らないのでは。そう思って、この部分はかなりツボにハマってしまったのだった。

- -