死んだ妻が息子と夫に会いに、雨の季節に戻って来る。記憶を亡くした妻と家族の心温まるストーリー。そして意外な結末が…。映画やドラマのこんな触れ込みを見て、結末が気になって読んでみた。
なにしろ『世界の中心で愛をさけぶ』がどうしようもなかったので、これも純愛ブームの一端だろうと、まったく期待せず読んだ。ところがどっこい。なかなか面白かった。
結末はSFチックなのだけど、こういうのもありでしょう。普通の親子ではなくて、父親が精神的な疾患をかかえながら懸命に子育てしているというのがミソ。この設定が効いている。
記憶がない妻の側から見ると、夫ともう一度最初から恋愛する。息子ともう一度親子になる。そういうのが新鮮。いきなり知らない場所に来て、あなたは覚えていないけれど、自分たちはあなたの夫と子どもです、と言われたらびっくりする。
けれど、読者はこの人たちが夫であり、子どもであることを知っているから、きっと妻も記憶にないけれど心の奥でなにか感じているに違いないと思うのだ。そして本当に、だんだんと夫を愛し、子どもの母親らしくなってゆく。
そして、やっと本当の家族のようになったころに、妻は自分がいるべき場所に帰らなければいけないのだ。最後にすべての真相が明らかになったとき、妻の深い愛情、この家族の絆の強さを思い知って、深い感動がやってくる。
いやはや、これはやられた、という感じ。この作者の別の作品も読みたくなった。
しかし、映画やドラマはどうかな。映画は見てない。ドラマは数回見たけれど、設定が変わっていて、あまり全部見たいと思えなかった。本のほうがいいぞ。
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