山崎豊子の作品は『白い巨塔 』『大地の子 』を読んだけれど、なぜかイマイチ夢中になれない。それは、社会派で堅くて難しいから、というだけでなくて、どうやら登場人物たちに感情移入できないかららしい。いや、正確に言えば、感情移入はできる。人間の欲とか醜い部分が描き出されていて、そういう卑しい感情というのは私の中にも確実にあって、読みながら多少共感しつつ、人間の悲しい性を感じてしまう。
そういうドロドロとした内面を描き出しているのだけど、どうも、出てくる人たちがみんな悪人というか、人間臭すぎて、みんな腹に一物抱えているような人ばかり。現実世界に、完全な善人なんていないのだろうけど、そこは小説だし、なんかこう、応援したくなるような愛すべきキャラクターがいてもいいんじゃないかと思ってしまう。悪いやつだけど憎めないとか、いい人なんだけどちょっとドジとか、そういう人って出てこないのよね。なんかみーんな腹黒そうで救いがない。
大阪の老舗の三人姉妹と愛人の遺産相続争い。そこに大番頭や叔母や踊りの師匠なんかがからんでくる。もう、ドロドロ。醜い。女って嫌。 |