第17回小説すばる新人賞受賞作。で、帯に各紙に掲載された賞賛の言葉が並んでいる。かなり期待して読んだのだけど、ちょっと期待はずれだった。
もっと見えない戦争の怖さがひしひしと伝わってくるのかと思ったら、全体的にファンタジーのようで、あいまいなまま終わってしまった。なまぬるーい感じ。
作者の意図がどこにあるのか図りかねるのだけど、戦争の恐怖という意味では、戦争とはこんなものではない、という思いが強く残った。私は戦争を体験していないからなんとも言えないけれど、戦争というのは日常が変わってしまうところが一番怖いのだと思う。だから、最終的に平凡な日常に戻ってしまう結末がとても嘘くさく感じたし、途中も表面上、何気ない日常が続いているということにリアリティを感じなかった。人の死も、つぶさに描写されずに、会話の中などでその事実が伝えられる。つかみどころがない。
でも逆に、この小説から戦争の恐怖を感じるという人もいるのかもしれない。見えないところで行われる戦争。日常の延長線上で行われる戦争。それはある意味、戦争の真実でもあるのかもしれない。
この著者の、もっと違うテーマの本が読んでみたい気がした。恋愛ものとか、ファンタジーとか。そういう物を書いたときに、平凡な作品になってしまうのか、傑作になるのか、気になる。 |