ラップ調の文章が強烈なのだ。現実と非現実が混同しているような世界。その中に真実がときどき顔を出す。人間の深層のようなものがひょっこりと。
金髪の青年の祖母の介護日記としてまっとうに書いたら、よくありがちなタダの感動エッセイになってしまうだろう。祖母は青年をよくかわいがった。青年は祖母のその愛情を忘れず、寝たきりになった祖母を一心に介護する。夜中に数時間おきに起き、おむつを替える。昼間は母が介護するので寝ていると、親戚がやってきていつまで寝てるのとバカにされる。何もしない叔母はさも自分がすべてを知っているように「祖母が泣いていた」と嘆く。青年は叔母に当てつけるように祖母が自分たちにしか見せない笑顔の話をする。
ラップ調の文章は照れ隠しなのか、文学なのか。狂ったような文章の合間合間に現実が現れる。祖母との関係が語られて、自らの生い立ちが語られる。
介護はしたことがないけれど、祖母が入院したりしたときに感じたこととか、著者の家族への思いとか、共感する部分がかなりあった。個人的なことが語られているのに、それは普遍的なことだったりもする。
芥川賞受賞作。芥川賞受賞作を読んだことがないので、なぜ芥川賞なのか、これが文学だからなのか、斬新なのかどうか、よくわからないのだけど、心を刺激する作品ではあるかも。 |