韓国ドラマ「冬のソナタ」で大ブームの韓国俳優ペ・ヨンジュン主演の映画「スキャンダル」の原作。映画では舞台を韓国に置き換えてるらしいが、原作ではフランス貴族のお話。
原作が出版されたのが1782年、私が読んだ角川文庫版の元となったものが出版されたのが昭和35年(1960年)。日本語本文も今の作家にはないようなもってまわったような言い回し。貴族ことばというのだろうか。
書簡形式なので余計にそう感じる。「…あそばせ」「…でございますわね」「…なのでございます」「…でございましょう」「…してまいります」などなど。すべて「です・ます」調なので、文章量も多いし、読むのに手こずってしまった。
最初から盛り上がりをみせるワケでもないのだけど、がんばって読んでみたらなかなか面白かった。お金や生活の心配をする必要のない貴族たちは恋愛ゲームくらいしか楽しみがなかったのかもしれない。っていうか、この人たちヒマだよね、って思った。
外面は貞淑を装っているのに実は奸計に長けた未亡人・メルトイユ夫人。プレイボーイのヴァルモン子爵。修道院で育って結婚のために呼び戻された無垢な娘・セシルとその母親のヴォランジュ夫人。美しく貞淑なツールヴェル法院長夫人。セシルの恋人ダンスニー騎士。これらの人間模様が複雑にからみあってそれぞれの思惑が交錯する。くっついたり離れたり、微妙な心理戦が繰り広げられる。
ヴァルモンは最初はゲームのようにツールヴェル夫人を落とそうとするが、次第に本気になってゆくし、元カノのメルトイユ夫人とも関係を持ちたいし、自分の利害のために半ば強引にセシルの純潔を奪ってしまうし、まったくどうしようもない。西洋版源氏物語みたい。
メルトイユ夫人は策略家で、社交界ではいい人を装っていて、元彼のヴァルモンとは戦友かライバルみたいな関係を保ち続けている。お互いの成果を自慢しあったりしてこの人たちってどっちもどっちね。
可哀想なのはこの人たちに踊らされてしまうセシルやツールヴェル夫人やダンスニー騎士たち。口車に乗せられてダマされたり、いいように気持ちを弄ばれちゃったりして、ゲームのコマのよう。それをヴァルモンとメルトイユ夫人が手紙で報告しあって笑ってるっていう。最低。
最後は因果応報というか、意外に悲劇的な終わり方だった。ヴァルモンはダンスニーと決闘。セシルは修道院に入ってしまうし、メルトイユ夫人もツールヴェル夫人も不幸な最後。でも特に暗い気持ちにもならなかったのは、いままでのこの人たちの行動を考えると妥当な運命かなと思えたからかもしれない。
ラクロはこの一冊が代表作だそう。恋愛というのはいつの時代も変わらず、普遍的なテーマなので、この本が読み継がれているというのもわかる気がする。映画が舞台にしたい気持ちもよくわかる。
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