『バカの壁』(新潮新書/新潮社)のヒットで大ブレイクの養老孟司さんの新刊。もともと解剖学者なのだから、「バカ」よりは「死」のほうが得意分野なのかしら。
しかし、相変わらず、養老先生の本って、読んでる間はフムフムなるほどと思うんだけど、読み終わってみると「あれ?」って思っちゃう。分かったようで分かっていない私がいるのだった。どんな内容なのって聞かれると「ん?」って感じ。寝てる間に見た夢を起きた瞬間は鮮明に覚えてるのに、いざ人に説明しようとすると忘れちゃってる、みたいな。
本のつくりは『バカの壁』と一緒で、養老先生が語ったことを編集者がまとめたもの。とっても読みやすい。内容はやっぱり多岐にわたっていて、脳死のこと、移植のこと、戦争のこと、もちろん死体のことなどなど、盛りだくさん。
どうして人を殺してはいけないのかという問い、なにをもって人の死とするのか、親しい人の死体と見知らぬ人の死体の違いってなんなのか、まじめに考えてもよくわからない問題に養老先生なりの答えがある。それを、ああそうか、と思うか、え、違うんじゃない?って思うかは人によるかもしれない。だけど、普段考えてみたこともないような問いが混じっていたりするから、それをちょっと自分の頭で考えてみるっていうだけでも価値がある。人の生と死、生きている体、死んでしまった体、社会と死体について考えるきっかけになれば読む価値はある。
私はね、この本を読んで特別に目からウロコが落ちるようなことはなかったけれど、こういうことを日本の大勢の人がもっと真剣に考えるようになったら社会は少しは変わるかもしれないと思った。こういうこと、考えたこともないような人が多いんだろうなぁと読みながら思った |