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昭和の匂い◆『砂の器』 [2004年02月13日(金)]
砂の器〈上〉
松本 清張(著)
新潮社
¥ 580
[文庫] 15cm x 11cm , 397P
1973-03 / ISBN:4101109249
砂の器〈下〉
松本 清張(著)
新潮社
¥ 620
[文庫] 15cm x 11cm , 431P
1973-03 / ISBN:4101109257

松本清張作品を読んだのは初めて。SMAP中居くんのドラマが放映されはじめて、それを少し見て、まぁドラマ自体はそれほど面白いと思わなかったのだけど、それまでの映画化、ドラマ化されたものとか原作について書かれた記事を読んでいるうちにちょっと読みたくなったのだった。

今のドラマは犯人が主人公で、最初に犯罪が行われるところから始まる。原作は事件を追う刑事が主人公。過去の映画なんかも刑事が主人公だったらしい。ドラマを見ていても、なんとなく、刑事が主人公の方が面白そう。刑事役の渡辺謙がいい味出しているし。

原作では時代が昭和30年代くらい。この小説が書かれたのがそのくらいなのかな。今とは状況が全然違うので、この原作を現代に置き換えてドラマを作るのは大変そう。

当時はJRは国鉄。携帯電話なんてもちろんない。刑事たちは夜行列車で10時間、20時間かけて全国の各地に移動している。今だったら新幹線で数時間もかからないのに。アパートもトイレと風呂が共同なんて当たり前で、刑事の自宅には風呂もない。読みながら、なんともノスタルジックな気分になってしまった。なんとなくセリフの言い回しも昔っぽくて、みんなきちんとした日本語をしゃべってるなぁと変なところに感心。「ら」抜き言葉なんてないのよ。

事件の最初のカギは、被害者の東北弁と、犯人との会話に出てきた「カメダ」という言葉。これを手がかりに捜査が開始されるけれど、被害者の身元も、カメダという人物も見つからない。やがて、被害者の息子からの届け出で、身元がわかるが、犯人の手がかりはない。主人公の刑事、今西はカメダが人名ではなく、地名ではないかと推測するが、そこからも犯人に結びつくようなものは得られなかった。そして捜査本部は解散される。その後も今西は執念深い捜査を続け、ついに犯人の目星を付ける。

刑事がさまざまな出来事の断片をつなぎ合わせて犯人像を絞っていく過程が面白い。一見関係なさそうなものが意外な意味を持っていたりもする。

最初の殺人は被害者の顔を石でめった打ちにするというかなり原始的な凶行。しかし、その後、犯人と関わりのあると思われる人物たちが、自殺、心臓麻痺の自然死、流産で大量出血と、次々と死んでしまう。実は殺人の証拠を残さない凶器の存在があった。これが当時としては革新的だったのかも。私はそれほど驚かなかったけど。ふんふん、なるほどねーという感じ。

社会派と言われるだけあって、軽く読める読み物という感じじゃなくて重厚感があって、私は好き。軽ーいミステリーは嫌なのよ。

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