ロシアの文学というのは、その寒い土地柄なのか、暗い感じがする。この本も全体的に暗い。しかも貧乏。貧乏な話は自分が貧乏なときに読んではいけない。だってますます暗くなるから。ああ。。。
主人公は、自分も金を借りている、金貸しの強欲な老婆を殺し、その現場にやってきた老婆の妹も殺してしまう。老婆は生きていても世の中のためにならないと思って、自ら手を下すことにしたのだけど、妹は計算外だった。この、妹も一緒に殺しちゃったところがミソ。強欲ババァだけを殺したのなら、こんなに長い話にならんだろうと思う。
要するに、世間のためにならない(と思われる)人を殺した主人公が自分の犯した罪について、自首するかこのまま隠し通すかとぐじぐじと思い悩む話。暗いんだよ! 女々しいんだよ! と何度突っ込みたくなったことか。
この話、主要人物たちがみんな貧乏。なんか読んでる方まで貧しい気分になってくる。貧乏って辛いよね。せめて本の中ではもうちょっとリッチな気分になりたいものだわ。
で、主人公はといえば、大義名分があったはずの殺人なのだけど、犯してしまったあとでその大儀が本当に正しかったのかどうか、悩んじゃうのだ。だって、罪のないはずの老婆の妹まで殺しちゃったんだから。そっちの殺人には大儀はない。それで、その妹はけっこういい人だったみたいだからなおさらね。
思い悩む中でいろいろな人に出会う。家族のために娼婦となった少女は世間からは卑しい職業とされていても、心は美しい。この少女は大義名分があろうと殺人は認めない。貧しくても清い生き方ができることを少女は主人公の青年に見せつける。
青年は実は社会のためではなく自分の利己的な欲求のために老婆を殺したのかもしれないと思いはじめる。本当は金が欲しかっただけなのかもしれない。
と、延々と悶々と悩む青年の姿が描かれる。
っていうか、いくら悪い人だって、勝手に殺しちゃいけないでしょう。常識的に。だけどその常識ってなんなんだって作者はいいたかったのかもしれない。どうして人は人を殺してはいけないのか。みんなが勝手に悪いやつを殺したら、世間の秩序ってものがなくなってしまう。だから、法律ってものがあるのだ。悪いやつは法律で罰してもらう。勝手に殺しちゃだめなのだ。
そういうことをもっと考えてみようっていうテーマなんだろうな。それにしても文庫で上下二巻はちょっと長かった。理屈っぽい話を延々聞かされたあげくに結局は最初の結論に戻っちゃったような気分。 |