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つくりものっぽいリアル◆『陰摩羅鬼の瑕』 [2003年09月28日(日)]
陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)
京極 夏彦(著)
講談社
¥ 1,680
[新書] 661hundredths-inches x 433hundredths-inches , 749P
2003-08-09 / ISBN:4061822934

京極堂シリーズの最新作。5年ぶりらしい。前作からもうそんなに経つのか。今回も分厚い弁当箱本。寝ながら読むと腕が痛いのだ。

いつもの事件に比べると今回の殺人事件はあまり凄惨さがない。鳥のはく製に飾られた洋館で起きる連続花嫁殺人事件。死体も美しいまま。事件の犯人や動機も途中でなんとなく分かるのだけど、それも作者の意図するところだろう。最後で京極堂がいつも通りにカンカンっと憑物落としをしてくれる。

作中に登場する鳥のはく製。私、博物館なんかで動物のはく製を見るのは割と好きではあるのだけど、鳥のはく製って気持ち悪い。作中でも触れられているけれど、ほかの動物に比べて鳥のはく製って妙にリアルなのだ。羽が本物っぽいからかなぁ。だからなんだかこの小説の中全体に妙に作り物っぽい変なリアルさがただよっている。

そして、事件の真相もなんだか妙な感じ。要は心の問題なのだけど、本当にそんな風な生死感を持った人間ができるのかとか、どこか作り物めいていてうまく騙されているような感じ。

今回、犯人はいるものの、悪人は登場しない。みごとに登場人物全員が普通の人または、ちょっと普通ではないかもしれないけれど、悪意のない人たちなのだ。この小説では極端だけれど、日常生活の中での微妙な常識のズレって私たちでも体験する。いままで常識だと思っていたことが実は世間では非常識だったり、大人になるまでずっと勘違いしていたこととか、細かいことはたくさんある。それがもっと普遍的なものだったら、この小説のような事件も起こりうるのかもしれない。

なにかもの足りない感じがするのは、今回はあんまり女性が登場しなかったからかなぁ。

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