日本では古くから「岩窟王」として紹介されてきた。作者は『三銃士』を書いたアレクサンドル・デュマ。19世紀に書かれたものなのに、今読んでも新鮮で面白い。岩波文庫で7冊に及ぶ長編小説。
この作品、男の人に人気がありそう。「男のロマン」を刺激するような主人公なのだ。最初に、無実の罪で投獄されて、暗い牢獄で14年もの歳月を経て、脱獄に成功。牢獄で知り合った老人から、巨万の富と豊富な知識を得た主人公ダンテスは、モンテ・クリスト伯と名前を変えて、自分を陥れた人々に復讐すべくち密な計画をたて、実行に移してゆく。
復讐というと暗いのだけど、この主人公が元船乗りで、男気あふれる魅力的な人物なのだ。自分が投獄されていた14年の間に、愛する婚約者を奪われ、自分を投獄した人たちは成功者となり、地位と名誉と金を手に入れてのうのうと暮らしていたのだから、そりゃあ復讐したくなるのもよく分かる。
で、その復讐の仕方も周到に計画されていて、数年がかり。読みながら、それでどうなるんだろう、とワクワクする。子供の世代も巻き込んでいるので、登場人物も多くて、誰が誰の子供なのかとかときどき分からなくなってしまうのだけど、そんなことはお構い無しにどんどん読みすすめちゃうのだ。登場人物たちの人物造形も見事。悪役は悪役なりに人間味があるし、登場人物たちの謎めいた過去が除々に明らかにされていったり、最後まで飽きさせない。
モンテ・クリスト伯は巨万の富を背景に、豪華な生活をしている。しかも船乗り。男のロマンでしょう。男の人はこういう人に憧れるんじゃないかなぁ。女の人も憧れるか。そんなにお金があったら、復讐以外のことに使ってもいいんじゃないかと思うんだけどね。それを復讐に費やすっていうのもある意味、男のロマンなのかしらね。 |